めぐるside

「好き」とか「付き合う」とか、
当時の僕にはよくわからなかった。

咲月(さつき)と僕は幼稚園からずっと仲良しで、毎日一緒に遊んでいた。

小学校高学年になって、少し背伸びをしたがる時期に入ったクラスメイトたちが、僕と咲月の関係にいろいろ言ってくるようになった。

「ねぇ、めぐるくん」
「なに?」
「咲月ちゃんのこと、好きなの?」
「え?」

驚いた僕は、ちらりと隣にいる咲月の顔を見る。

「…咲月?」

彼女の顔はりんごみたいに真っ赤だった。