「優しいゆあは、みんなの人気者。
よく、間違われるもんな。
俺達、付き合ってんじゃないかってさぁ」

煌ーーーー?
まるでーー先生に聞かせてるみたいで。

違う。

いつもの煌じゃないーーーー。


「煌ーーーーもう、行こうよ。
昼休み、終わっちゃうよ?」



なんだか、変な空気に染まりつつある保健室。

背中が凍りそうなほど、冷たい視線を感じるーー。


だけど、振り向けない。
振り向くのが怖いーー。
「ーーー赤松 煌。
突き指な。よく、名前覚えておくからな」



それは低い冷たい声。

「俺はーー須賀 蓮(スガ レン)。
よろしくな、ゆあ。」


優しい微笑み。

怖い先生が、笑った。

不機嫌オーラ全開の先生が笑った。


「ーーはい。
よろしくお願います!」

そんなの笑い返すしか、術はない。

「ーーーーっ」


プィッ、と顔を背けた先生の横顔は照れていた気がした。