________愛してるよ。一生、離さないからね…

【第一章】小鳥の泣き声


『一稀(イツキ)、ここで待っていてね』『うん、お母さん』

まただ。
また、置いて行かれた。
いつもそうだ。
お母さんは、僕のこといらないんだ。
だから、こうやって今日も、公園に一人、置き去りにしていく。
でも、大丈夫、もう慣れた。
もう、12歳なんだ。こんなことで泣かない。へこたれない、僕は強くならなきゃいけない……。




でも、やっぱり寂しい
(誰か遊んでくれないかなぁ)

『君、一人で何してるんだい?もう18時だよ?』
『お兄さんこそ、何してるの』
『質問を質問で返してくるとは…。お兄さんは、ここに散歩をしに来たんだよ。君は?』
『お母さんを待ってる。多分、2時間は戻ってこない』
『えっ?今はもう冬だよ?凍えてしまうよ』
『大丈夫だよ、慣れてるから』
『慣れてるからって…』
そう、慣れているのだ。こんな真冬でも、毎日毎日外でずっと放置されていたら、誰でも自然と慣れるだろう。
『そっか、じゃあ、お兄さんの家に遊びに来ない?』
『えっ?』
遊び…。遊びたい…誰かと、楽しく遊びたい…
でも、この人は知らない人。ついて行っちゃ、ダメだ