【梅嶋エレナside】

制服のポケットの中にあるスマホがさっきからずっと震え続けている。

それもそのはず。

あたしは葛生薫子の髪を引っ張り、引きずり、怒りに任せて顔を何度も引っ叩いたのだ。

仕方なくスマホを取り出して画面を確認する。

母親からの不在着信は20件を超えている。

もう母親の元へは学校から連絡があったようだ。

「あーあ、マジだるすぎ」

学校を出て行きつけの漫画喫茶へ向かう。

スマホを充電しながらフルフラットシートにごろりと寝転ぶ。

高校に入って梨沙と彩乃っていう友達ができてからはそこそこな学校生活を送れていたのに。

それなのにどうしてあたしは今、平日の昼間に教師や母親から逃げて隠れるようにこんな場所にいるんだろう。