セリカ・キセノンは王立図書館で過去の天候記録を調べていた。

「そ。
天候」とティモテ姫。

すっかりと落ち着いた女性となったティモテ姫は金色の髪をゆらすとドレスとともに紅茶のカップを傾ける。

「天候記録ですか?」とセリカ・キセノン。
セリカは薬草師の女性で貴族だ。

外は夏の嵐だ。

「この先も良い作物がオーシュベルクの領土に実るか。
私たちはそれを懸念しています」とティモテ姫。

「天候記録はしかしそれとはあまり関係ないはずです」とセリカ。

「王国の義務なのですよ」とティモテ姫。

続ける。
「良い作物が育ち、良い人が生き延びることが出来るのかは。

これはつまり国璽(こくじ)です」

とティモテ姫。