放課後。

騒がしい帰りのホームルームを終え、それぞれが帰路につく中。


「じゃあよろしくな、御園さん」

相変わらず、人が苛立つような笑顔を浮かべてくるのは雪夜涼雅。



「じゃあ移動教室中心にまわっていこっか」


もちろん私も満面の笑みを浮かべ、この場を乗り切ろうと試みる。


「静音、諦めないでね!」
「絶対御園ならいけるだろ〜!」


そして私の恋を応援するかのような声かけをクラスメイトにされながら、私と雪夜は教室を後にした。



「えぇ!?静音ちゃん、そのイケメンは誰!?」
「あ、雪ちゃん〜!転校生なんだ」

「そうなんだ!もしかして恋の予感?」
「かっこいいから惚れそうかも!」


高1の時に同じクラスだった友達に声をかけられ、案の定隣にいる彼のことにも触れてきた。

それを予想していた私は、わざと肯定紛いな返答をする。


「御園ちゃん、隣にいるのは彼氏か!?」
「違います〜。絶賛片思い中!」

「まじか御園ちゃん!頑張れよ!」
「春也くんも早く好きな人見つけられるといいね」

今度は元クラスメイトの男子にも話しかけられ、上の階へ行くのも一苦労。