復讐が失敗してから2週間が経った。


恩師である秋崎(しゅうざき)さんには、『やっぱりな』というひと言で終わらされ、より一層悔しさが増した。



今日は平日の朝。
12月前半のこの時期は、もうだいぶ寒くなっている。

そのためブレザーを羽織ってから外へと出た。


平日の私は“ただの女子高生”へと戻る。



御園 静音(みその しずね)、今は高校2年。


メイクは必要最低限しかしないし、すっぴんの時もある。

そうでもしないと闇の世界を生きる人たちにバレてしまう恐れもあるからだった。


そのため、今の私に気づく人はおそらくいないだろうと思う。

メイクをしなければ幼く見えるだろうし、さらには制服を着ているのだ。


普通じゃない世界での私は、大人の設定であるから余計に気づかれない自信がある。



それからあとひとつ───


「静音ちゃん、おはよう!」
「あ、鈴じゃん!おはよう〜!」



電車で学校に向かい、正門を通ったところで高校1年からの友達である柏野 鈴(かしの すず)に声をかけられた。