それから、僕は女性のことを徹底的に調べ上げた。

名前は、エミリー・ブラウス。十九歳。農家の娘で、父と母と暮らしている。三つ年上の兄がいるが、隣街で暮らしている。性格は優しく大人しい。ダンスだけでなく、歌も上手。

早速僕は、エミリーにアプローチをすることにした。もちろん吸血鬼だということは隠し、最近この村に引っ越して来た者として……。

「エミリーさん、よろしければこれを受け取ってもらえませんか?さっき散歩した時に見つけたんです」

森の中で摘んできたきれいな花を渡す。人間の女はなぜか花が好きだ。いつか枯れていくものをなぜ好むのかわからないが、エミリーが手に入るのならばよしとしよう。

「ありがとうございます。飾っておきますね」

エミリーはそう言って微笑む。その笑顔も愛しい。このまま時を止めてしまいたいほどに……。

エミリーは、美人なだけあって競争率も高い。そのため、僕は厄介だと判断した人間は襲うことにした。食事は一月に一度でいいけど、別に血を飲んで悪いことなてないし、ライバルが一人でもいなくなるのならする価値はある。