それから小一時間ほど散歩すると、昼食を取るために場所を移動することにした。

 もちろんメニューは楽しみにしていた海の幸。

 真史さんと話し合いの結果、鮮魚店や海産物、水産加工品などを扱う店がたくさん入った市場のそばにある、新鮮な魚介類を仕入れお値打ちな価格で提供してくれる店に決定。

時刻は、十一時前。

 このあたりでは超有名な店だけど、この時間ならまだ空いているだろう。美味しい食事のためなら待つのも厭わないが、今の私はお腹がペコペコ。一分一秒と待っていられない。

「悪かったな。朝食のことをすっかり忘れていた」

「そんな、朝バタバタしちゃって、食べてこなかった私が悪いんです。真史さんが謝るようなことじゃないですよ」

 そう、寝坊した私が悪い。

 でも今は、朝ごはんを食べなかったことに感謝したい気分。

 いつもなら朝ごはんを目一杯食べて昼食は控えめにしか食べられないことが多いけれど、今日の私は違う。どんなに多い量の定食でも、ぺろりと食べられそうだ。