第2章  左遷






1週間後、
久し振りに捜査1課の扉を開けた。


また新たな事件が起きているのか、

皆慌ただしく資料が入ったファイルやノートPCを眺めている。


俺が所属していた“堺班”に至っては、
全員がどこかに出払っているようだった。




「お~お~誰かと思えば狂気の正義漢、神野君じゃないか。」



自分の席に座ってその時まで待とうと思ったが、

嫌味たっぷりの口調で捜査1課長の多村さんがやって来た。


「謹慎期間中、
ご迷惑をお掛けしました。」


多村課長の嫌味は今に始まったことじゃない。


堺さんにも以前話したが、この人はどうやら俺の事をあまり良く思っていないらしい。