「えっ!?勇人さんそんなこと言ったの!?」

あれから数日、熱も咳も出なくて風邪ではなかったのかも?と思い始めた勇菜だったけれど、あの日のことを思い出すだけで顔に熱が集中して動悸がするので違う病気なのかと陽菜に相談したら、陽菜は目を丸くして驚いていた。

勇菜と陽人の母親である越名陽菜(こしな ひな)は二人の成人した子持ちとは思えないほどのスタイルの持ち主で、小動物のような動きが可愛いと今もなお人気のモデルだった。

「話を聞いている限り、勇菜はその隆君に恋してるんだと思うんだけど……」

「恋?」

「だって、隆君の笑顔を見てからドキドキしだしたんでしょ?
何かしらそうなるきっかけはなかったの?」

「きっかけ……」

言われてその時のことを詳しく思い出そうとすると、あの目を細めて微笑む隆矢の顔が思い出されて勇菜は真っ赤になった。

「きっかけなんて……ただ、微笑んだ隆君のその表情が好きだなぁって……」

「なんだ、自分でわかってたんじゃない」

「え?」

「今言ったじゃない、“好き”って」

そう指摘されて勇菜は溢れんばかりに目を見開くと陽菜は柔らかく微笑んだ。
あの症状が恋だと気付いた瞬間、勇菜はまたドキドキと胸が高鳴り出してそっと胸に手を置いた。