「きょうくんを遊びに誘ったら、しばらく街に来るなってライン来たんだけど~」


月曜日の休み時間。

私の席の前にやって来た美月ちゃんが長いため息を吐いた。



私も泉くんから同じ内容のメッセージをもらった。


美月ちゃんに私が襲われかけたことも、響平と会ったことも話してない。
美月ちゃんに、あんな怖い思いをさせるわけにはいかないから。




暗黒街に行けない週末は、久しぶりに実家に帰った。

といっても、家には誰もいない。



仕事で忙しい両親は、それぞれ職場の近くに部屋を借りていて、私が寮に入る前ですら、帰ってくるのは年に数回ほどだった。


隣の家に住む看護師の北村さんという人が昔から私の様子をよく見ていてくれていて、特に困ることはなかった。


だからと言って両親に放置されていたというわけでもなく、仕事が休みの日は遊びに連れて行ってくれたし、ご飯も作ってくれた。



今だって、メッセージのやりとりをたまにする。