「もうとっくにうつってるし、」


ぐっと体重をかけられる。



響平の匂いと体温が思考を遮って、抵抗する力はあっという間にゼロになる。


「……んっ」

熱い唇が落とされる。



本当にうつしてしまったんじゃないかってくらい熱い。



「肩の力入りすぎ」


好きな人に触れられているのに、緊張するなというのは無理な話。



「瑠花」

「っ、……なに?」

「キス、応えて」



わざとらしい甘えた囁きが鼓膜を揺さぶった。



「無理……」

「なんで?」

「……わかんないから……やり方……」



応えるどころか、いまだに息の仕方すら……。