ケータイ小説 野いちご

金曜日の王子様

危険な香り






「会いたかったよ。心優(みゆう)。」



そう言ってなんの躊躇もなく私を優しく抱きしめる奏良(そら)。


名字は前に聞いたことがあるが教えてくれなかった。


ストレートの黒髪マッシュヘアで、女の子が羨むようなカールをした長い睫毛に大きくて綺麗な目、高い鼻。


誰もが声を揃えてイケメンと言うだろう。



「私も、会いたかった。」



私は高鳴る心臓を抑えて冷静に言った。


それを聞いた奏良はフッと少し悲しげのある笑みを浮かべて私を見ている。


出た。


奏良は無意識だろうが今のようなどこか遠くを見据えて悲しそうな顔をする。



瞳は私を写しているのだが、その奥に私はいない。



誰を見ているの?
そう聞けない私は臆病者だ。




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