ケータイ小説 野いちご

ねえ、明日自転車貸してよ。

はじまりのエレベーター。

突然の出来事だった。
本当に突然で、何が起きたのかわからなかった。


夏が始まろうとしていたあの日、お昼休みが終わったというのに私、湊 十花(みなと とうか)は授業に行かず大学の中のエレベーター前のソファにだらんと座っていた。
あの日はどうしても授業に行く気になれなかった。大学生になって3ヶ月と少し。人見知りの私は必修クラスの人達の輪に上手く入っていけず、だんだんと距離が遠くなっていくことを痛感し、悩んでいた。
(どうして私はこんななんだろう…)
(これから社会に出てやっていけるのかな…)
考えれば考えるほど不安になる。そして、自分を嫌いになる。
(もう………)
一旦落ち着こうと、ため息をついた。

その時だった。
目の前のエレベーターが開いた。
(そっか…今授業中なんだっけ…)
そんな事を考えながら俯きかけると、
目の前の人物がこっちへ近づいてくる。
私が顔を上げると同時に、その人物が口を開いた。



「………十花?」


その瞬間、私の中で何かが動いた。


よくテレビや雑誌で、
「ビビっときた」とか 「雷に打たれたような感じ」とか聞くけど、信じたことなんてなかった。
だけど そっかぁー…困ったなぁー…。
私はどうやら目の前の人物、伊部 佑馬(いなべ ゆうま)に恋をしてしまったようだ。


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