あの後、休み時間にも舞子と話したけれど、やっぱり、簡単に許すことはできないって結論になった。

放課後、部活のある舞子を教室で見送ってひとり、靴箱で靴を履きかえる。

舞子と話したことで、心の奥底に蓋をして塞いでいたあの頃の記憶がポツリポツリと思い出される。

「小山さん」

告白される前、一度も話したことない彼からノートの切れ端を渡されて『放課後話があるから残って欲しい』なんて書かれてて。

その先に何が起こるか知らなった私は無邪気に内心そわそわドキドキしたりして。

「小山さんっ!」

っ?!

突然、聞き慣れた声に名前を呼ばれたかと思うと、肩を優しく掴まれた。

「っ、希夜くん?!」

そこには、制服姿の希夜くんが立っていた。

心がなぜだかホッとしている。

嫌な思い出の不安がゆっくり溶けていくような。