『さて、
ずいぶん無駄な時間を
費やしてしました。

そろそろ参りましょうか』


シリウスが杖をかざし、
光が放たれると

今度は、目の前に
無数の鳥居が立ち並ぶ
"千本鳥居"のような道が現れた。

『まったく…
あなた方 ニホンという
国の者は…
数千年かけて
天界に道を作ってしまって…』

シリウスは
ぶつぶつ言いながら
鳥居の中に入って行った。

常に、にこやかな
シリウスであったのだが
この時は少し
不機嫌そうな顔をしていた。
どうやら、この道は苦手のようだ。

『ぎぎ!』と、

頭の上の魔物にうながされ
彼も、後に続く。

鳥居は、やがて密集度を増し
完全に暗闇のトンネルとなっていった。

「シ、シリウスさーーん…
ぜんぜん真っ暗で
見えないんですけどぉ……いますー?」

『……』

返答がない。

「!! ちょ……シリウスさん?!」

「どこ行ったんですか!」
「っつーかコレ、どこ行くんですか?!」
「いや、マジでどこ行った!!」

完全に…お化け屋敷の
おいてけぼりパニック状態である。

半狂乱の中、暗闇を進むと…
やがて、"ぼふっ"とした
柔らかい壁にぶち当たった。

『裏~~メ~~シ~~ア~~』

突如、暗闇の中に
"青白い顔"が現れ……

「………いや……
…そんなん…どこで覚えたんですか…」

杖の光を、
顔の下から当てる"あれ"で
シリウスが振り向いた。

「よく考えたら、シリウスさん自身…
光れるんじゃぁないんですか…?
そりゃ 大天使ですもんね…
名前もシリウスですもんね…
光導く者ですものね……
で、裏メシアってなんなんです?」

彼のじと目が
シリウスの心を、深くえぐった。