「清らかな子どもでないと駄目なんですよ。
 今度の大祭で舞を舞うのは」

 しょんぼりとベッドの上で深月は言った。

「待て。
 お前、子どもじゃないだろうが」

「だって、うちの地区では、私が一番年下なんです。
 よその子を借りてこようかって話もあったんですが」

「誘拐か」

 他の地区に住んでるお孫さんとかですよ、と思いながら、深月は言う。

「でも、練習、夜遅くあるし、厳しいし。
 借りてきた子じゃ、怒鳴れないっておじいちゃんたちが言うので、私になったんですけどね。

 ……どうしよう。
 神の怒りを買う前に、おじいちゃんの怒りを買ってしまいますっ」
と怯える深月に、陽太は、ふーん、と素っ気ない。

 あ、ひどい、と見つめる深月の視線に気づいたらしい陽太が言った。

「神様なんて居るわけないだろ。
 俺は訳あって、神様は信じないんだ」