「こんにちは」

 杵崎が外に出たついでに清春の神社を覗いてみると、清春はいつものように境内を掃いていた。

 深月と一緒にパン屋に行く話を杵崎も聞いていたので、少し心配になり、清春に訊いてみたが、清春は、

「いや、別に悪いことを企んでるわけじゃない」
と言う。

「ちょっとは俺の中になくもないなあ、と気づいたんだよ。

 妹としてのあいつを立派に送り出してやろうという気持ちが。

 だから式をやるのも引き受けたし、兄妹として二人で独身最後のお出かけでもしてみようかなと思ったんだ。

 子どもの頃、一緒に駄菓子屋に手をつないで行ってたときみたいに」

「……手をつなぐ気ですか」

「……そこに引っかかるか」
と清春に言われた。