「式はうちでやるのか」

 祖父、万蔵の家で夕食をとっていたその日、清春が深月に訊いてきた。

「一応、そのつもり。
 披露宴だけは海の見えるレストランにしたんだけど」
と深月が言うと、清春は面白くもなさそうに、

「海なら此処でも見放題だろ」
と言う。

 すると、万蔵が言った。

「まあ、その頃にはわしの足も治っているじゃろうし、いいんじゃが。

 ……深月の結婚式はゆっくり座って、涙したい気もするのう」
と。

「そうか。
 じゃあ、俺がやるよ」

 そう唐突に清春が言い出した。

 ええっ? とみんなが振り向く。

「俺が祝詞をあげてやる。

 ……早く別れるよう、呪いを込めて」

「あ、やっぱ、教会にしよっかなー」
と深月は呟いた。