〜全てはここから始まった〜

sideつぐみ

ここが私が今日から通う学校…。二葉高校、か。魔法を操れる人ばっかりだって聞いたけど、上手くやっていけるかな。
…えっと、とりあえず校長室に行けばいいんだよね。えーっと、地図、地図……あー、なるほど、一階の隅っこか。ってことはここをまっすぐで、うん。とりあえずいきなり迷子になるのは避けられそうだ。よし、行こう…

つ 「わぁ!?」

? 「うお!?あ、悪い!大丈夫か…?」

校長室を目指して歩いていたら誰かが勢いよくぶつかってきた。その人は慌てて立ち上がり、まだ倒れていた私に手を差し出してくれた。

つ 「だ、大丈夫です。私も前をよく見てなかったので…すみません。」

? 「や、ホントごめんな。怪我とかしてないか?」

つ 「大丈夫です。あ、ありがとうございます…。」

まごまごしていたら、その人が私の手を取って起き上がらせてくれた。改めて見ると、緑色の瞳がキラキラしていて、綺麗な人だなぁと思わず見入ってしまった。

? 「すごい!見る角度によって色が違う!」

つ 「え?」

? 「君の目。さっきは黄色だと思ったのに、正面から見たら緑に見える!」

つ 「あぁ…生まれつきこうなんです。」

? 「へぇー、キレイだね。あ、そいえば君は何しに来たの?制服着てないし。」

つ 「えっと、今日転校してきました。」

? 「転校生かぁ!名前なんていうの?」

つ 「一年の鈴村つぐみといいます。よろしくお願いします。」

? 「おう!よろしくな!」

♪キーンコーンカーンコーン

? 「あっ、ヤバ!!急いでたの忘れてた!ごめん、じゃーね!」

その人は再び走って行ってしまった。引き留めちゃったのか、悪いことしたな…。あ、名前聞くの忘れてた。今度会ったら聞いておこうかな。

しばらく歩いているうちに校長室らしきドアの前にたどり着いた。ノックしてみると中から返事があったので、そっとドアを開けて中に入った。

つ 「失礼します。」

校 「どーぞー」

なんか、緩いな。

つ 「今日からこちらの学校でお世話になる鈴村つぐみです。」

校「僕はここの学校の校長先生をしてる人。よろしくー。ま、そんな気張らなくていいよ〜。」

つ 「はい…」

校長っていうか近所のおじちゃんみたいだな…

校 「まずは、編入試験合格&入学おめでとう。」

つ 「あ、ありがとうございます。」

校 「えーっと、この学校の仕組みから説明するね。たぶん、君のいた普通教育の学校とはかなり変わった感じだから。まず根本的な違いとしては…」

つ 「こちらでは、一般教育の他に魔法技術に関する知識を学べるんですよね。」

校 「そう。話が早くて助かるよ〜。あ、でもそれだけじゃないんだ。」

つ 「それだけじゃない?」

校 「ここでは魔法を用いた戦闘訓練もやってもらう。」

つ 「戦闘、ですか…?」

校 「そう。元々この学校は、魔法を使って一般市民に害をなすもの、まぁ要するに敵だな。それにに対抗するために作られたからね。当然戦わなきゃいけないって事態も想定してるってわけ。Sクラスの生徒は、実際に敵組織を切り崩す手伝いをしてもらってるんだ。」

つ 「なるほど…」

Sクラス…すごく強そうだなってことは分かるけど、

つ 「あの、Sクラスって、どういうことですか?」

校 「あぁ、ごめんごめん。説明はしょりすぎたね。ここでは、生徒の能力の強さによってクラスを分けてるんだ。CからSの四クラスで、Sは実戦にも応用できるほどの優秀な生徒たちの集まりだよ。ま、8人しかいないんだけどね。」

つ 「8人?少ないんですね。」

校 「まぁSクラスだからね。少数精鋭ってわけ。何かあった時にいつでも動けるように、Sクラスだけは寮生活なんだ。あ、あと、完全に強さ別に分けてるから、学年って概念は普通の学校より薄いかなー。」

つ 「な、なるほど…。」

校 「あぁ、ごめんね。一気に喋っちゃって。」

つ 「あ、いえ!大丈夫です。一応、一通り理解はできたので。」

校 「そう?よかった。じゃあこれから君に1つやってもらいたいことがあるんだけど。」

つ 「はい。」

校 「どのクラスに編入するか決めるための試験を受けてほしい。」

つ 「し、試験ですか?」

校 「はは、大丈夫大丈夫。そんな大変なものじゃないから。これに触るだけ。」

これは…水晶…?

校 「これはラクリマ水晶といってね。要するに、魔法測定器みたいなもの。」

つ 「魔法測定器…」

校 「準備はいい?」

つ 「はい…!」

とりあえず、触ればいいんだよね…手のひらに魔力を集めるような感じで…!

校 「こ、これは…」

見てみると、水晶はまばゆい虹色に輝いていた。

校 「虹属性…!?しかもこの光…」

つ 「えっと…?」

校 「すごいよ君!Aクラス、いや、Sクラスに行っても十分やっていける!」

つ 「え、それってどういう?!」

校 「てなわけで、君はSクラスに編入してもらう。早速挨拶しに行こうか。」

つ 「えっ…え…?ええぇぇぇ!!?」


続く