「こんにちはー」

僕は〝文芸部〟というプレートがかかった部室の

ドアを開けた。ギギッ、と少し軋んでドアが開い

て、

「遅っそいよメガネ君」

という超不機嫌な声が僕を迎えた。

「……何でいるんですか」

真ん中の机に偉そうにふんぞり返ったその先輩は

「何でってー」と不服そうに口を尖らせる。

「あなたは数研部員ですよね?」

「そうだけど」

「退部させられた、とか?」

「う」

うちの学校の数研部は、活動が熱心だ。

数学オリンピックとか、数学甲子園?にバンバン

出場してて、まあいわゆるガチ勢ってやつだ。