赤紙
これはある若い夫婦のお話

晶子「やはり行ってしまわれるのですか?」

清一「私が行かなければ、たくさんの人が亡くなってしまう。」

晶子「分かっています。。。でも、行かないで.......」

清一「大丈夫だ。必ず帰ってくるから。」

晶子「約束ですよ。戻って来られたらたくさんたくさんお話しますからね。覚悟しといてくださいね。」

清一「あぁ、覚悟しておくよ。
.......晶子、愛してる。」

晶子「はい。私も愛しています。」

その後二人は息が出来なくなるほど強く強く抱き合った。それから何度も何度も唇を重ね合わせた。

晶子「いってらしゃい.......」

清一「いってくる。」

晶子は、清一が見えなくなるまで手を振り続けた。晶子は清一が見えなくなったと同時に泣き崩れてしまった。

晶子「清一さん、、、、清一さん」


戦争も終盤になり、安心していた晶子はこの声を聞いて絶望してしまう。

街の人A「なんでも生きてる人が囮になって敵地に乗り込んでるらしいわよ。」

街の人B「あー、知ってるわ、特攻隊日の丸3号って言うのよね?」

晶子「その話本当ですか?」

街の人A「ええ、本当よ。」

清一が乗っていた飛行機は、日の丸3号だったのだ。

晶子「そんな、、、いや、いやいやーーーー清一さん清一さん行かないで.......」

晶子は瓦礫の中で泣きながら清一さんがいない世界なんていらない、死んでしまおう。
そう思っていた。しかしその時だった。

清一「晶子、死ぬな。生きろ」

晶子「清一さん?いるの?出てきてよ!必ず帰ってくるからって仰ったじゃないですか、たくさんお話するって約束したじゃないですか、、、」

清一「晶子、ごめんな、約束守れなくて
来世で会おう。この約束は、絶対守るから。」

晶子「絶対ですからね。来世で会いましょう。」





時はたち20XX年

咲良は、何もかもが嫌になり自殺を試みた。
そこに一人の男が現れた。

大樹「死ぬな。生きろ」

咲良「清一さん?」

大樹「えっ?俺は大樹だけど?」

咲良「えっ?すみません、、、
私は咲良と申します。」

大樹「晶子?」

咲良「やっぱり、清一さんだ!ちゃんと約束守って下さりありがとうございます」

大樹「晶子なのか?ちゃんと約束守ったからな。」