信じがたい展開を繰り返しながら、受難の一日は俺の意志を無視したまま
瞬く間に過ぎていった。
俺にとって全てを忘れ、素のままの自分に戻れる場所は…もうこのベッドしか残っていなかった。

バッフン!

俺はやたら豪勢な作りの柔らかなベッドに下着一枚の姿で俯せに倒れ込んだ。


(ああ…疲れた…。)

この先俺はどうなるんだ?あの19歳のガキのお守りを続けなくちゃならないなんて…神様とやらは一体何を考えているんだ?


(神様か・・俺もバカな事を考えるな。)

俺は、自分の間抜けさ加減に嫌気がさし、バフバフと羽毛の詰まった枕に額を打ち付けた。
枕に顔を埋めたまま、耳を澄ました。あんなに騒々しいアホ親父が生活しているというのに、エドガーの屋敷は水を打ったように静まり返っていた。


キィ…。

突然部屋のドアが静かに開いた。暫く中をうかがっているのか、緊張した小さな息遣いが聞こえる。


(こんな夜更けに誰だよ?)

俺は神経を耳に集中させたまま、眠ったフリをして様子を見ることにした。

ヒタヒタ…。

冷たい石の床を裸足で歩く音と衣擦れがベッドの側で止まった。