『北国の伝統:カップリングとは、主に騎士の家系と魔術師の家系が行う。各家系に生まれた健全な男女は20歳を迎える前に、それぞれの家の血に合った相手を見つけ共に暫くの間生活する。その間国王より様々な課題が出され、それを解決することにより良い関係を築いてゆくことができる。カップリングの組み合わせは"原則として"男女一組である。』


くだらない伝統だ。

こんな伝統に、まさかこの俺が縛られることになるなんて思いもしなかった。
そもそも俺は天涯孤独、成績が良かったという理由だけであの学校に住まわせて貰い、魔術を鬱陶しいガキどもに教えていただけなのだ。俺の保護者は一応エジソンの爺さんだったが…あの野郎、密かに裏で手を回していやがったか!


(ふん、厄介払いができて良かったな。)

厄介払いか。それにしたってこの仕打ちは無いだろうに。座り心地の良い猫足の椅子にゆったりと身体を沈めたまま、俺はギシギシと椅子の背に寄りかかり椅子の足でバランスを取りながらぼんやりと物思いに耽っていた。そんなやる気のない俺の横顔を、冷ややかに見つめながらエドガーは熱い紅茶を啜っている。