「ロニィ~、起きろよ~。いつまで寝てるんだよ!」

ゴキッ

耳障りなボーイソプラノの叫び声と共に、エドガーの鉄拳が俺の頭に炸裂した。

「痛ぇーー!このクソガキッ!」

俺は頭蓋骨が陥没しているのでは?と言うほどに激しく痛む頭を両手でさすりながら起き上がった。


(勘弁してくれよ。お前のせいで結局昨日の晩は殆ど寝てないんだぞ!)
全く最悪の夜だった。

あれから俺は、グッスリと眠る筈だった。
なのに、そいつは甘かった。
奴が寝返りを打つ度に、エルボーやら踵落としが遠慮無しに俺の上に降ってきた。
挙げ句の果てには、ベッドから蹴落とされ、嫌という程腰を打つ始末だった。

完全に寝不足だ。
俺は、ノロノロと服を着ながら、鏡に映った自分の顔を覗き込んだ。


(酷ぇ…。)

目の下には大きな隈。体の至る所には赤い痣が出来ていた。

「酷い顔だよねぇ。ロニィってホント寝相が悪いんだねぇ。」

「へっ、よく言うぜ。いいか、クソガキ!これはお前がつけたんだっ。俺はもう金輪際お前と一緒のベッドでは寝ないからな!」

俺はエドガーを指差し、そう言い捨てると乱暴に部屋のドアを開け、朝食の匂いが漂う廊下を足早に進んだ。