5.代行の代行?!


魔法チョコのパッケージデザインも決まり、あとは生産販売を待つのみ。

直美が見せてくれたパッケージデザインは、間宮さんのイメージからは全く想像できないくらい子供が好きそうな色合いとちょっぴりぷーすけを彷彿させるかわいいキャラクターがちりばめられていた。

まさかあの居酒屋のおしゃれな店内デザインをした人と同一人物が考えたものとは思えない。

でも、こんなかわいらしいデザインを創造できるのも、ひょっとしたらあの代行業あってこそなのかもしれない。

色んな人達と出会い、触れ合うことで培われるクライアントの思いに沿ったデザイン。

パッケージが印刷された紙をそっと人差し指でなぞった。

彼の思いの詰まった、うちの会社の願いが詰まった新商品のデザインは販売課全員が納得のオッケーサインを出したらしい。

あの日、お世話になってからもう随分経ったような気がする。

元気にしてるのかな。

まだ夜中まで代行業で忙しくしてるのだろうか。

先週だったか直美が、「パッケージデザイン確定したら、もう間宮さんの麗しいお姿拝めないじゃない」なんて口をとがらせて言っていたっけ。

繋がりが断ち切られるって、こんなにも切なくて寂しいものなんだ。

直美のそんな愚痴を聞きながら、あの日、車の座席に封筒を置いた時の自分の気持ちと重ね合わせていた。