「ねぇ、ハル、起きて」


そっと触れた頬から私の手に、彼の熱が伝わってくる。


触れた頬に、擦寄る彼にドキッと高鳴る。


静かな空気を、ただ吐息だけが漏れる。


いつもの事なのに緊張してしまうのは、なんでだろう。


そっと閉じられていた瞳が、開いたかと思えば、直ぐに私を捉える。


吸い込まれるように、その瞳に捉われる。


「おはよう、菜乃」