それは、前に私の家にいた、お母さんの浮気相手の男だった。


「な、なにしにここに…」


本能的に全身の毛が逆立つ思いがした。


「ちょっと一緒に来てもらうから…」
「い、いやだ…」


校舎に戻らなきゃ…


そう思ったとき、ビリっと電撃がお腹に走った。後ろに、スタンガンを持った別の男がいたのだ。


遠ざかる意識の中、私はとっさに制服のリボンを取った。


……お願い一月君、これで気づいて。


私は車に乗せられ、どこかへ運ばれていった。