ケータイ小説 野いちご

この作品のキーワード

ごめんなさい。

あのね、ごめんなさい。


あなたはとても優しい人だと思う。


それは私の中で揺るぎない事実。


悩みがあったら話して欲しい、相談してほしい。


あなたは私に寄り添うように言ってくれる。


だけど、だけどね。


ないの。


あなたに、話せることが、


一つもないんだ。


こんな言い方、良くないかもしれないけど、


多分、あなたには分からない気がするんだ。


本当にごめん。


私の勝手なこじつけだよね。


だけど、


昔からいつもそうだったんだ。


もう、分かってもらえないのは


当然のことだったっていうか、


なんて言うのかな。


最初から諦めてるっていうか、


他人に期待してないっていうか…………


…………ええと、そう!


自分は最初から


理解される人間じゃないって


潔く受け入れでもしないと、


今までやっていけなかったんだ。


だって、すごく苦しいんだよ。


分かってもらえないのに、


分かって!分かってよ!って


自己顕示欲に振り回されて、


一生懸命自分をアピールしちゃって、


他人に理解を求めて、


結局何も返ってこないっていうのが。


本当にものすごく苦しかったんだ。


誰だって苦しいのは嫌さ。


悲しいのも辛いのも


なるべくなら避けて通りたいと


誰もが思うことさ。


だから、やめたんだ。


他人に期待することをね。


楽なんだ、そっちのほうが。


だって、がっかりすることがないもの。


我ながら冷たい人間だと思うよ。


だけど、そうしなきゃ


今でも苦しいままだった。


当時と比べれば、大分心は閉ざしたと思う。


だけど、心はあの時よりも軽くなった。


まるで居るべき場所に収まったようにね。


だから、私は自分の悩みを


自分から人に話したりはしない。


それがどれだけ極端なことか分かっている。


よく悩みを抱え込むのは良くないと言われるけど、


人に理解されないようなことだったりとか、


過去に誰かに相談したことがあって、


それが良い結果を生まなかった、


あるいは悪い結果に繋がってしまった、


なんてことがあったら、


抱え込んでしまうのも無理はない気がするんだ。


もちろん、勇気を出して


誰かに相談できるならそれに越したことはないけど…………


だから、ごめんなさい。


あなたに話せることは一つもないんだ。


本当に、ごめんなさい。


ごめんなさい。




……………ごめんなさい。





< 1/ 1 >