翌日から司書研修は始まるとの事で、一休みした後にグレースは司書への挨拶に出向いた。専任司書のパジェット氏は五十代の細身の男性で、最初は従僕として働いていたのだが本好きを知ったグランサム公爵が勉強させてくれて司書になったのだという。

「この図書室はグランサム公爵家の歴史であり、財産でもあるのです。そこを任されている事に誇りを持って仕事をしております」

挨拶の時にそう言ったパジェット氏は、司書の仕事を覚えたいと頭を下げるグレースに厳しい宣言をした。

「司書の仕事は難しく奥が深いものです。短期間で教えられるのは上部だけでしかありません。それでもあなたがこの先、司書の仕事をする時に無駄にはならないでしょう。しっかり学んで下さい」

「はい！よろしくお願いします」