ケータイ小説 野いちご

身代わり令嬢に終わらない口づけを

第三章 十分に、美しい

「奥様、今日のお昼は夕べの音楽堂で召し上がりませんか?」

 次の朝、ソフィーが着替えを手伝いながら言った。

「あら、嬉しいわ」

「奥様がお聴きになりたいとのことで楽師の手配をいたしましたところ、レオン様がぜひご一緒に、と。簡単ですが、昼食会にご招待したいとのことです。楽しみですわね」

 楽しそうに言ったソフィーとは逆に、それを聞いたとたんにローズは複雑な気分になってしまった。

 レオンと一緒なのか。

 出来ればレオンとも仲良くはしておきたいし、ベアトリスのいい印象も与えておきたい。

 それはわかっているのだが、本音を言えば、できることならもうベアトリスと入れ替わるまでは顔を合わせたくはなかった。けれど、婚約者の招待を理由もなく断るわけにもいかないだろう。

 ローズは、ソフィーに気づかれないようにため息をついた。

(楽しく……できるといいなあ)

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