何かに包まれているような感覚。

それを確かめるようにして、私はそっと目を開けた───



「……ん」

目を開けるけれど、視界は暗くて。

背中に手がまわされているような感触がし、ゆっくりと顔を上げる。


「……っ!?」


思わず飛び起きてしまった。

だって目の前には、目を閉じてスヤスヤと眠る涼雅くんの姿があったからだ。


どうして私の家に───?


寝起きで思考が鈍い中、必死に昨晩のことを思い出す。



「……あ」

そこまで深く考える必要なんてなく、すぐに昨日のことを思い出した。



長い1日だった。

たくさんのことがありすぎて、うまく頭の中が整理できなかったけれど。


涼雅くんのおかげで考え過ぎることもなく、今日を迎えることができたのだ。



その時涼雅くんがピクリと動いたため、思わず息を止める。


「……ん…」

いつもは大人びている彼の寝顔は少し幼くてかわいい、なんて。


「……白野?」
「あ、起こしちゃった?」


すると涼雅くんはゆっくりと目を開け、どうやら起きてしまったようで。



「何俺から離れてんだよ」
「え……」

彼は少しムスッとしたかと思えば、私の腕を引いてきた。


何も準備していなかった私は涼雅くんのほうへ倒れ込んでしまい。

そのまま抱きしめられてしまう。



「りょ、涼雅く……!?」
「抱き枕は動かねぇのが普通だろ」

「へ……」


抱き枕?
私、抱き枕の扱いされてるの!?


思わず反抗しようとしたけれど───



涼雅くんはまた眠りについたのか、小さな寝息が聞こえてきて。

そうなればもう、反抗することだなんてできない。