図書室からの帰り道、ゆっくり自転車を漕ぎながら、頭の中でそんな回想をしていた。
慎太郎のことを思い出すと、今でも少し胸が痛む。
わたしが慎太郎を嫌ってるんじゃなくて、慎太郎がわたしを嫌ってるんだ。
それなのにさっき図書室で助けてくれた。慎太郎は困っている人を見ると放っておけなくて、ついつい手を差し伸べてしまうそんな人だから。
わたしのことが嫌いでも、放っておけなかったんだよね。
そんなところは昔から変わってなくて、それはある意味すごいことだと思う。
どうしたらそんなにまっすぐでいられるんだろう。
わたしは全然ダメだ。
周りに合わせてばっかりで、いつもいつもいつも……ただ流れに身を任せている。
自分の意見もなくて、自分がなにを考えているのか、自分でもわからない。
こんなわたしが慎太郎と肩を並べられるわけがない。
天と地ほどの差ができてしまっている。
でも、いつだって、どんな時だって『このままでいいわけがない』それだけはわかっていた。