ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書

居場所になる図書室




不良高校と名高く、毎日そこかしこでケンカが繰り広げられる鷲高でも、この季節はやって来るらしい。
そう、期末試験。

だいぶ気温も高くなってきた7月の初日、授業も終わった放課後に、矢吹くんが足音も荒々しく図書室に入ってきた。

「‥‥こ、こんにちは‥‥え、どうしたの?」

「おい、ちょっと場所貸せ」

「場所、とは‥‥?」

「だから、ベンキョーする場所だよ」

イラついた口調でそう言う矢吹くんには、どこか悲愴な雰囲気が漂っている。
何事か‥‥と思っていると、後ろから一ノ瀬くんと君島くん、そして同級生らしい数名の生徒が入ってきた。

「突然すみません、先生。たしか図書室にグループ学習室があったと思うのですが、貸して頂けないでしょうか」

「あぁ、それは全然いいけど‥‥そっか、試験勉強?」

「えぇ。莉王をはじめ、こいつらは中間も悲惨だったので、どうにかしないと本当にまずいんです。教室だと集中しないし、逃げるしで‥‥」

「だってー、俺ベンキョー嫌いだもーん‥‥」

いつも元気のいい君島くんも、今日はなんだか表情に陰りがあるし、しおらしい気がする。



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