ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書

図書室に来る理由



この学校に赴任して、3週間が経った。
6月に入り、天気もじめじめしてきた気がする。

お気に入りの長傘を持って、今日も職場――鷲高に出勤する。

校門をくぐり、図書室へと向かう途中、建物の外や廊下にたむろする集団と何度もすれ違う。

「でさー、そいつが‥‥あっ、はよざいます‥‥」

「お、おはよう」



「今日さー、カラオケ行かねぇ?」

「いいねー!‥‥って、あ、‥‥おはざっす‥‥」

「お、おはよう‥‥」



(‥‥な、なんか調子狂う―――!!)


「手出した奴は殺す 矢吹」。

あの貼り紙が張られてから、生徒たちの私を見る目ががらりと変わった。

ジロジロと物珍しげに眺められるのは相変わらずだけど、下卑た言葉をかけられたり、からかわれたりすることはなくなった。もちろん、危害を加えられることも。

むしろ、私を見ると、少し怯えたように会釈をしたり、気まずそうに挨拶して立ち去る子が多くなった気がする。

(‥‥あの貼り紙の効果、なんだろうけど‥‥)



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