ケータイ小説 野いちご

鷲高の王と囲われ司書

王との出会い


「こっちのジャケットでいいかな‥‥動きやすい方がいいし、パンツで問題ないよね?」

5月も終わりに差しかかった、ある晴れた日。私、泉瞳子(いずみとうこ)は、玄関前の鏡の前で、出勤前の最後の服装チェックをしていた。

今日から、念願の学校図書室勤務。出勤初日だから、服装もきちんとして、自信を持って登校したい。


中学の頃から、学校の図書室の先生に憧れていた。

大学も文学部に入って、司書教諭の資格を取って、就職活動も学校図書館一筋だった。

だけど、折からの就職難で、大学卒業間近になってもなかなか内定が決まらなくて。

1年留年して、来年の新卒採用を待つっていう手もあったけど、これ以上田舎の両親に学費を頼る訳にもいかず。

それでも図書室勤務を諦めることも出来なくて、仕方なく、大学を卒業して派遣で市立図書館のパートの仕事をしながら、司書教諭の募集を探しつつ、1年ちょっと生活していた。

そんな時目にした、私立鷲尾高校の司書教諭の募集。もともと一人しか司書がいなかったのに、その方が体を壊して退職されるので、至急後任を探しているとのことだった。

藁にもすがる思いで応募したら、とんとん拍子に試験に受かって、選考が進んで。
大学卒業から1年と少し経った5月のある日、ついに内定通知を受け取った。
半月ほどで事務手続きなどを終えて、いよいよ今日から着任だ。


「‥‥よし、がんばろう!」


鏡の前で一人で気合を入れて、まだ越してきたばかりのアパートを出た。



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