「お電話ありがとうございます。常盤国ホテルフロント、瀬名でございます」

『……』

「―…もしもし?こちら、常盤国ホテルフロント、」

『ガチャッ……ツーツー』

「……」


フロントバックにて、電話を取ったら、無言の後ガチャ切りされる……


「もぉ~…朝から、一体、何のいやがらせ……?!」


表に聞こえない程度の声で、怒りの言葉を口にしながら受話器を置く。

と、


「また無言電話ですかぁ?」


ちょうど裏に来た、夜勤上がりになる美山ちゃんが私に声をかけた。


「うん。出勤してまだ三十分と経ってないけど、まさかの三度目だよ……」

「私も三回受けましたけど、名前を言い終わらないうちにガチャ切りでしたよ~瀬名さんは名前言わせて貰えるだけ、いいじゃないですか~」

「……そういう問題じゃないでしょ」


呆れ口調で美山ちゃんに言葉を返す。