「毎年、この日はここに来ようね」

不意に君が言った言葉を思い出したのは、僕たちが別れて四年以上経った日だった。

そして、ここに来たのは、六年前の今日、僕たちが付き合い始めた場所だから。

ホームにあるベンチに座り、駅をゆっくりと見渡す。

卒業以来、久しぶりにこの場所にやってきた。

時は流れてもあのときと何も変わっていない風景は、懐かしさとともに残酷なものでもあった。

今思うと、本当に些細なことだったと思う。

だけど、あのときの僕には些細に思えるほど大人でもなく、余裕もなかった。

お互いに一緒にいるときは数え切れないほど笑ったはずなのに、君を思い出すときは泣いたあのときの表情だ。

どうしてあんなことを言ってしまったのだろう。

後悔してもあのときの言葉は広がる夕空に消すことなどできず、君の、そして僕の胸に痛く残った。

結局、別れてから一言も交わすことなく卒業し、卒業して今日まで一度連絡することはなかった。