ケータイ小説 野いちご

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7年越しの好きを、キミに。

【1】青い空に照らされて。



8月中旬。夏休みも終わりに近づいている。

一匹の蝉が鳴き始め、それを合図にどこからともなくたくさんの蝉が一斉に騒ぎだし、真夏の暑さに拍車がかかる。

灼熱の太陽はアスファルトを容赦なく熱し続け、蟻や小動物からすれば生き地獄で、人間である私たちもその上を歩くだけで足の裏から熱を吸収して体温が上がる。

時折ふわりと風が吹きオアシスかと思えば、その風は生ぬるく、体にべっとりと纏わりつき憂鬱極まりない。


バイト終わりの夕暮れ時、高校入学から仲の良い友達の美紅と並んで帰る途中、公園に寄った。

美紅とは同じバイト先で同じ大学。
何かと話が合いよく相談をしていつもわたしと同じように同じ気持ちで悩んでくれる、とても心の優しい子だ。

大学生なのに2人してブランコに座り、美紅は静かに漕ぎ始めながらわたしに聞いてくる。

「…また思い出してるの?」

眉を八の字に下げ、呆れてるのか またかと思っているのか、美紅はさらに言葉を続けて「この景色見ると思い出す?」と空に向かって指差した。

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