ケータイ小説 野いちご

死神学園の身代わりひつじ 七星同盟の紅一点!(短編バージョン)

Chapter. 1

「待て、姫! もう逃がさないぞ!」

(待つわけないじゃん……!)

 学園内の奥まった場所で、私は男子生徒に追いかけられていた。

(あれ、ここどこだっけ? まだ転入して日が浅いから、学園内の構造がよくわからない……!!)

「……そこは行き止まりだ。屋上への扉は閉鎖されているから。
 観念してくれ、姫。頼むから、僕に君の『心』を捧げてくれ」

 壁際に私を追い詰めた男子生徒は、ぎらついた瞳を隠そうともせずに迫ってくる。

「そんなの、無理に決まってる……っ」

(いきなり追いかけられて、好きになるだなんて絶対無理!)

「頼む! どうしても僕は生き返りたい、生き返らなきゃいけないんだ……!!」

 それはそうだろう。だけどこの学園の男子生徒なら、『死神』ならそれは皆同じなわけで――……
 答えを返そうとしない私に苛ついたのか、男子生徒は強引に私の腕を掴んだ。

「痛っ、離してよ……っっ」
「ごめん、でも僕は……!」

 彼の手が私の首にかかる。
 まさか。彼が狙うのは私の――

「嫌ぁ……!!」

 だが、その時。

「やっぱり『命』を狙うのが一番ラクだよねぇ」
「い……っ、痛たたたたた……っ!」

 背後から長髪の男子生徒が近づき、彼の腕を捻りあげた。

「この学校は良い子ちゃんが多いけど、でも自分の命がかかってるとなったら、誰だってなり振り構ってられない――……」

 新たに現れた彼は、私を襲った男子生徒の腕をしっかりと掴んだまま、余裕ありげに語る。
 助けてくれたのだろうか。

「あ、あの……」
「ここはさ、弱肉強食の世界なんだよ。お前みたいな弱いヤツに、『姫』はふさわしくない……ぜっ!」
「ぐぁ……っ!!」

 くぐもった音がして、私を襲った生徒が倒れ込んだ。
 お腹に膝蹴りを食らわされたのだ。

「……あっけない。ねぇ、姫?」

 長髪の彼は私に振り向いて、ひらひらと手を振った。

「……あの、ありがとうございます。助けていただいて……」

 私はお礼を言い、ぺこりと頭を下げた。
 しかし――

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