1人で帰るのは初めてだった。
1人ぼっちの通学路が
こんなにも寂しいなんて私は
知らなかった。

今までは誘わなくとも
仁野か喜野か那野が
生徒玄関で待っててくれて
当たり前のように一緒に帰ってたけど
それって全然、当たり前じゃなかったんだ。

皆、変わっちゃうんだ。
歳を重ねるごとに少しずつ
私たちは変わってしまう。

センチメンタルな気分になっていると
前を歩く仁野を見つける。

仁野は立ち止まると
辺りを何度も見回し
コソコソと森の中へと入っていった。