私は軽く顔を赤らめつつスマホの画像を指、指してこう言った。
『私が好きなのはこの、ボーカルの女の子。
他の子も好きだけど、君程じゃないよ』
『つーことは、お前は…その~…
バンドじゃなくて、俺の事見てくれてたのか?…』
彼は顔を真っ赤にしてたどたどしくも、そう、聞いてきた。
『そう…だよ』
彼の真っ赤な顔が移ったように、私も顔を真っ赤にしながらそう、答える。
『何だよ…心配して損した~!
俺、マジでお前に男として見られてなくて、近くのお笑い芸人程度にしか見られてないかと思ってた~』
と、何だか吹っ切れたような顔をして彼は言う。
『お笑い芸人はこんなに格好良くなくて、もっと面白いから!』
と、私が宣言すると、
『何だそれ。
何か貶されてるのか褒められてんのかよく分かんねぇーな』
そう言うと彼は笑った。
私も彼につられるように笑った。
二人の幸せそうな笑い声が、旧校舎に響くのだった…