『おい、看病しに来てやったぞ』
遠い意識の中で彼氏の声がする。
『うぅ…うつっちゃうから大丈っゲホッ!ゲホッ!…』
『無理するな。黙って看病されてろ』
そう言ってから彼は私に気を使って無言で看病をしてくれた。
『本当…に…ありがと…』
『喋るな。黙れ。元気に成ったらいくらでも聞いてやる』
私が喋るのも辛いのを分かってるからだと思うと嬉しくて、私は笑顔で頷く。
『っ…』
すると、急に彼の顔が赤くなった。
私は近くのメモにペンで『君も風邪?大丈夫?』と、書く。
『違ぇよ…
俺、我慢してるからそーゆーの辞めろって事』
『?』私は分からなかった。
『だから…その…
襲わないように我慢してんだから…可愛い笑顔するな』
『え』
『お前!作っといたからお粥食って寝てろ!
俺、帰るから!』
『君が看病してくれたから直ぐ、元気に成る!』
『バタンッ!』
照れ隠しのようにドアを彼は勢い良く閉めたのだった。