『終わったぁ…』
やっとインフルエンザでの欠員分の仕事が終わり、私はデスクに突っ伏した。
『ぐーぎゅるぎゅるぎゅる…』
すると、お腹が大きな音を鳴らした。
『あ…』
そう言えば夜ご飯をまだ済ませていない事を忘れていた。
もう十時。
それこそ適当にコンビニで10秒チャージ!的なCM通りの事をしようかと思っていた。
すると…
『お疲れ様』
『へ?』
急に上から声がして上を見た。
すると、そこには同僚の神田さんが居た。
すると、自分の手にココアの缶を置かれる。
『あぁ、ありがとう』
と、私は何とか照れないように堪えつつ受け取り、パソコンを閉じる。
そして、私は自分のバックを取り、立ち上がった。
そして、神田さんに一礼してから、オフィスのドアへ向かおうと歩き出したその時。
『待て』
と、急に言われた。
『夜ご飯、作り過ぎたから食え』
『へ?』
『お腹鳴ってただろ。
家近いから夜ご飯を渡してやると言ってるんだ』
無愛想ながらのその優しさは私と同じ位の残業で疲れていても変わらないようだった。
『え、家近いんですか』
しかし、それは、知らなかった。
それもそうだ。
連絡先は知っていても事務的な話しかしないような仲だからだ。
『お前をよく家の近くの駅で見かける』
『あ、だからよく電車で遭遇するんですね』
『出勤時間ほぼ同じだからな』
『じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます!』