『チョコ、あげる』
と、私はバックからチョコを取り出し、
隣の席に座っている海(うみ)に渡す。
『何だよそれ』
『何って見ての通りチョコでしょ?』
『そりゃそうだけどさ、
違くて!』
『?』
『いや、何でもない』
『そっか、変なの』
『てかさ、もしかして、
本命だったりするー?』
『友チョコに決まってるでしょ?』
『ハイハイ』
『本当、変に軽薄なんだから…』

この時、私達は知らなかった。
知る余地も無かった。

まさか、同じことを考えていた何て。

『『友チョコじゃないよ』』
『て、言えたらなぁ…』
『て、言ってくれたらなぁ…』

後にそれを知ることもだが。