「ほら、入って」
幼なじみである彼に促され、私はドアの前に立つ
(本棚の裏にドアを隠すなんて…ドラマみたい…!)
そう、彼は芸能人
記者に勘違いされてスクープなんて撮られたら大問題!
今日は、彼に初めて新しい家に呼び出されたのだ
「芸能人らしい…というかなんか、凄い仕掛けだね!」
「…君のためだよ」
「へ?」
「なんでもないよ」
「バタンッ」
彼は、ドアを後ろ手に閉めた
そして…

『どうして…芸能人なった今でも、俺は君と会ってると思う?』

その、突拍子もない質問に、言葉を失う
「幼なじみ…だから…?」
私が絞り出した言葉に、彼は横に首を振る
「教えてあげる…だから…こっちに来て」
促されるがままに、彼に近付くと…

『チュッ…』

『君が…好きだからだよ
ねぇ、君は?』

『ファーストキスと、
この気持ちの責任とってよね』

不器用なりに返した私の言葉に、彼は顔を真っ赤にして頷いた