『あ…』
誰にも聞こえないような小さな声で、俺が反応した相手は隣の席の片想いの相手だった。
目が少し鋭く素直じゃなくて、少し口調が男子っぽく、性格を勘違いされる事が多いが、本当は優しいくて照れ屋だ。
そんな彼女とは小学生の頃に出会ったのだが、彼女がその年に転校してからこの気持ちに気付いたのだ。
だから、転校が隣の学校で良かったと思う。
おかげで中学で再開できた。
だからこそ、そんな大事な彼女を見れる時間が下駄箱での偶然の遭遇でも異常に嬉しいのだ。

『ガタッ…』
一人で彼女は隣の席に座る。
俺は思わず見とれてしまう。
彼女は気付かずに本を読んでいた。

何故か隣から視線を感じる…
いや、片想いの相手にそんなに見つめられちゃ困るんだけどなぁ…
キミが好きだよって言えたらな…
て、わっ!声は出てなかったけど口が動いてた!?

まさか…俺の事か…?
二人の顔が真っ赤だったのを知るのは少し先の話…