私はクラスにまだ慣れず、逃げて廊下を歩いていた
すると、気付いたら三年生の廊下まで来ていた
一年生の廊下の隣は三年生の廊下だから、ボーッと歩いていたら着いたのだろう
戻ろうとくるりと向きを変えて歩き出すと、声をかけられた
『ねぇ?君、俺の事覚えてる?』
『え…』
私は立ち尽くした
それは、憧れだった部活の先輩だった
『せっ!先輩!?七瀬先輩じゃないですか!!久しぶりです!』
会うのは中学校の卒業式以来だ
『お、覚えてくれてたんだ!』
『当たり前ですよ!』
好きな人を忘れるわけないじゃないですか
『いやー!相変わらずお前は元気だなー!』
『先輩こそ、相変わらずですね!』
相変わらず格好良いですね!…なんて言えない
『な、どうしてこの学校にしたんだ?』
『え…』
『俺を追いかけて…て、んなわけないか!』
片想いの筈の恋が動く音がした
『…』
私が無言で頷くと、先輩は顔を林檎のように真っ赤にした