ケータイ小説 野いちご

元彼課長 ー さよならの続き ー

抱いて

4月1日————

異動のたびに思う。
昨日までいた人が…約3年以上いた人たちが、急にいなくなる。
代わりに知らない人がそのデスクに入る。
なのにみんな違和感を覚えないんだろうか。
なんでみんなこんなにあっさりしているんだろう。
もう少し感傷的になってもいいと思うのだけど、寂しいと思うのは私だけなんだろうか。
29にもなっていまだに慣れず、そう思ってしまう私は子どもなんだろうか。
やっぱり精神年齢は大学生…いや、もっと下で止まっているのかもしれない。

春は嫌いだ。
私にとっては、出会いじゃなく、別れの季節。
これも桜が嫌いな所以。…全て、彼のせいで。
空きデスクは、陽太の分と課長の分、MRの榛名さん、そしてお局様の分だけだ。
なぜだかわからないけど、お局様もここに5年いたらしい。
引き取り手がなかったのだろうか。
あんなに嫌だったお局様ですら、いざいなくなるとどこか寂しい。
何より、陽太がここにいないことが私にとっては不自然すぎて、心にぽっかり穴が開いたような気がする。
陽太は今頃、3区で挨拶をしているのだろうか。
私の知らない場所で、私の知らないメンバーの前で。

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